【第10回】大手不動産会社が「楽器可物件市場」に参入しない理由

前回は、既存物件を楽器可防音賃貸マンションに転用する難しさについて説明しました。今回は、新築の「楽器可物件」が市場に大量に供給される可能性を見ていきましょう。

新規の「楽器可物件」が大量供給される可能性は低い

前回、前々回で説明したように、既存物件を楽器可物件に転用することはそもそも物理的に難しく(鉄骨・木造の場合)、また物理的に可能であっても(鉄筋コンクリート造の場合)、防音工事や構造計算等に莫大なコストがかかるおそれがあり、およそ現実的ではないといえます。

 

では、新築物件についてはどうでしょうか。すなわち、新築の形で楽器可物件が市場に大量に供給される可能性はないのでしょうか。

 

結論から述べれば、その可能性は極めて低く、またたとえ供給されたとしても、楽器演奏愛好家たちのニーズを十分に満足させるような楽器可物件は、ごくわずかにとどまることが予想されます。

既存の業者には防音建築のノウハウが少ない

第一に、大手ハウスメーカーやディベロッパーが、楽器可防音賃貸マンションのマーケットに積極的に参入してくることはまずないからです。

 

そもそも既存の業者のほとんどは、防音建築の受注実績が少ないため、楽器可物件の開発に必要とされるノウハウを十分に備えていません。

 

そのため、仮に大手ハウスメーカーの特建事業部に依頼しても、防音建築施工実績のある現場監督を確保することは難しく、極めて高額な追加防音設計・追加防音施工コストを請求されることになるでしょう。

 

防音設計実績のある設計事務所、防音建築施工実績のあるゼネコン、さらには工事を設計図書と照合し、それが設計図書の通りに実施されているか否かを確認する、経験豊富な一級建築士の三者が揃わない限りは、品質の高い防音マンションの建設はまず不可能なのです。

 

そして、このような体制を備えているハウスメーカー、ディベロッパーは大手には存在しません。事実、大手業者が主体となった防音性能の高い楽器可物件の供給はこれまでほとんどなされてこなかったのが実情なのです。

 


本連載は、2016年3月1日刊行の書籍『”楽器可防音マンション経営”で実現する鉄壁の資産防衛』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

大塚五郎右エ門

ツナガルホールディングス株式会社
ツナガルデザイン株式会社
代表取締役CEO

University of Wales(英国国立ウェールズ大学経営大学院)にてMBAを取得。鎌倉時代から700年続き、「大田区で一番古い地主」といわれている27代目。一級建築士、宅地建物取引士。不動産コンサルティングマスター。土地有効活用の企画・資産組み替え・設計・仕入・ファイナンス・開発・賃貸・管理まで、オーナーの手を煩わせることなく、「ワンストップ」でサポートしている。資産家に向け、「相続税対策・資産承継等に貢献できる賃貸経営」の提案を行う。2015年、日本初の集合住宅の防音構造(「全戸三重防音構造」)で特許を取得。

『”楽器可防音マンション経営”で実現する鉄壁の資産防衛』
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出版 幻冬舎  発行日 2016年3月1日
著者 大塚五郎右エ門
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資産を守り抜くには「投資」で増やすしかない時代――
しかし、株や債券、投信といった人気商品はリスクばかりが大きく、資産を食い潰す危険性をはらんでいます。長期にわたり安定した収入を得るために、いまもっとも注目すべきは収益不動産への投資です。「希少性」「将来性」「好立地」の一棟マンション、とくに「楽器が弾ける防音物件」ならば、時流に左右されず、鉄壁の資産防衛を実現できるのです。

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