【第11回】賃貸市場に「楽器可物件」が大量供給される可能性が低い理由

前回に引き続き、新築の形で「楽器可物件」が市場に大量に供給される可能性が低い理由を説明します。今回は、中小の業者が「楽器可物件市場」に参入してくる可能性などを見ていきましょう。

中小業者の参入は否定できないがクオリティには疑問も

大手ではなく、中小の業者が「楽器可物件市場」に参入してくる可能性はどうでしょうか。

 

その可能性に関しては一概に否定できません。実際、現存するごくわずかな楽器可物件を開発してきたのは、それを専門とする中小零細の業者でした。

 

とはいえ、そうした専門業者が供給してきた商品が「100%すばらしい」と断言できるものばかりだったわけではありません。率直にいえば、現在「室内で楽器が演奏できます!」と宣伝されている商品の中には、品質に疑問を抱くようなものも少なくないのです。

 

たとえば、建物の遮音性能が70デシベル(500ヘルツ)に満たないマンションを、「楽器可マンション」と謳って施工している建設業者がいます。

 

しかし、実際に建設されている商品の中身をよくみれば、壁内に遮音空気層をもった二既存の楽器可物件には不十分なクオリティのものも重防音構造ではないことに気づくはずです。これでは、十分な防音効果を得ることは難しいといわざるをえません。

 

また仮に50~60デシベルの遮音性を確保することができていたとしても、ピアノを演奏すれば40~50デシベル以上の騒音が漏れることになります(100デシベル程度のピアノの演奏音の場合、隣室で「ほとんど聞こえない」レベルに減衰させるのに必要な遮音性能は少なくとも70デシベル〈500ヘルツ〉以上となります)。

 

アップライトピアノは静かに弾けば90デシベル程度の音量におさまるかもしれません。しかし、フォルテ、フォルテシモなど強い音を弾けばすぐに100デシベル以上まで上がります。グランドピアノであれば、110デシベルに達することもあります。

 

その結果、演奏音が、上下左右斜めの隣接住戸に受忍限度を超える騒音となって鳴り響いてしまうおそれがあります。

 

今はまだ、楽器可物件は圧倒的な供給不足にあるために、不十分な防音性能であっても、他に選択肢のない人が騒音を我慢して入居しているようです。しかし将来的に、同じエリアにより性能が高い他社の楽器可物件が増えた場合には、このような物件の稼働率が下がることは容易に推測できます。

「楽器相談物件」と「楽器可物件」は似て非なるもの

このように、楽器可物件を過去に施工している建設業者の中にも、必ずしもクオリティが十分とはいえないような物件を取り扱っている業者がいることには注意を払っておく必要があるでしょう。

 

なお、「Yahoo!不動産」などの不動産賃貸ポータルサイトを眺めていると「楽器相談」と表示されている物件が数多くあります。そのため、すでに楽器可物件が市場にあふれているように思っている人もいるかもしれません。

 

しかし、「楽器可物件」と「楽器相談物件」は全く似て非なるものです。

 

すなわち、賃貸条件において単に「楽器相談」としている場合、一般的には遮音構造ではない通常物件を意味しています。一方、「楽器可」となっているものは、遮音構造を備えた防音物件となっているものがほとんどです(サイトによっては「楽器相談」の中に「楽器可」を含めている場合もあります)。

 


本連載は、2016年3月1日刊行の書籍『”楽器可防音マンション経営”で実現する鉄壁の資産防衛』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

大塚五郎右エ門

ツナガルホールディングス株式会社
ツナガルデザイン株式会社
代表取締役CEO

University of Wales(英国国立ウェールズ大学経営大学院)にてMBAを取得。鎌倉時代から700年続き、「大田区で一番古い地主」といわれている27代目。一級建築士、宅地建物取引士。不動産コンサルティングマスター。土地有効活用の企画・資産組み替え・設計・仕入・ファイナンス・開発・賃貸・管理まで、オーナーの手を煩わせることなく、「ワンストップ」でサポートしている。資産家に向け、「相続税対策・資産承継等に貢献できる賃貸経営」の提案を行う。2015年、日本初の集合住宅の防音構造(「全戸三重防音構造」)で特許を取得。

『”楽器可防音マンション経営”で実現する鉄壁の資産防衛』
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出版 幻冬舎  発行日 2016年3月1日
著者 大塚五郎右エ門
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