【第8回】既存物件の「楽器可防音マンションへの転用」が困難な理由

前回は、楽器可物件を音大の近くに建てなくてもよい理由を説明しました。今回は、既存物件を「楽器可防音賃貸マンション」につくりかえることが困難な理由を見ていきます。

木造・鉄骨造の建物は「軽さ」ゆえに遮音性能が低い

楽器可防音賃貸マンションの模倣を試みる場合、まずは既存物件からの転用が考えられます。

 

しかし、結論から述べると、既存物件を楽器可防音賃貸マンションにつくりかえることはこの上なく困難といってよいでしょう。既存物件の大半を占めている木造・鉄骨造の建物はその〝軽さ〞ゆえに、楽器可防音賃貸マンションに改修することが物理的に不可能と考えて差し支えありません。

 

いうまでもありませんが、楽器可防音賃貸マンションでは、音を遮って外に漏らさない性能、すなわち「遮音性能」が不可欠となります。

 

遮音性能は質量に比例します。つまり、重量があればあるほど遮音性能は高まり、逆に軽ければ軽いほど遮音性能は低くなります。ところが、木造はもちろん、鉄骨造もコスト削減のために徹底した軽量化が図られており、本来的に遮音性能が極めて低い設計となっているのです。

 

おそらく木造・鉄骨造の既存物件を安易に楽器可物件に転用すれば、楽器を演奏する入居者が発生させる騒音の大きさに我慢できずに、他の入居者たちは次々と退去してしまうはずです。

防音性能の鉄骨造も楽器演奏レベルの音には不十分

なお、最近、東証一部に上場している某大手ハウスメーカーが、防音性能を向上させた特別仕様の鉄骨造の共同住宅を開発したと伝えられています。

 

しかし、これは上下階の足音などの騒音対策を目的とした商品であり、隣戸間界床の遮音性能は50デシベル程度しかないようです。

 

仮にこれを購入した後で、楽器可物件への転用を試みたとしたら――たとえば「ピアノの演奏ができます」という触れ込みで入居者を募集したら――どのような結果がもたらされることになるかを考えてみましょう。

 

ピアノの演奏音は、100デシベル前後になります。すると、50デシベルの遮音性能であれば、「100デシベル−50デシベル」の計算式から、50デシベルの騒音が室外に漏れることになり、上下、両隣の部屋に住む人は耐えがたい苦痛を感じることになるはずです。

 

このように、たとえ防音性能を備えていたとしても、木造・鉄骨造の物件を楽器可物件に転用することは事実上不可能なのです。

 


本連載は、2016年3月1日刊行の書籍『”楽器可防音マンション経営”で実現する鉄壁の資産防衛』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

大塚五郎右エ門

ツナガルホールディングス株式会社
ツナガルデザイン株式会社
代表取締役CEO

University of Wales(英国国立ウェールズ大学経営大学院)にてMBAを取得。鎌倉時代から700年続き、「大田区で一番古い地主」といわれている27代目。一級建築士、宅地建物取引士。不動産コンサルティングマスター。土地有効活用の企画・資産組み替え・設計・仕入・ファイナンス・開発・賃貸・管理まで、オーナーの手を煩わせることなく、「ワンストップ」でサポートしている。資産家に向け、「相続税対策・資産承継等に貢献できる賃貸経営」の提案を行う。2015年、日本初の集合住宅の防音構造(「全戸三重防音構造」)で特許を取得。

『”楽器可防音マンション経営”で実現する鉄壁の資産防衛』
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出版 幻冬舎  発行日 2016年3月1日
著者 大塚五郎右エ門
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